会社を辞めたくなった時には

プログレッシブ・フロー・ジャパンのコンサルタントは、企業経営者、マネージャー層をはじめ、現場の社員、そして学生やインターンなど若い方まで、多くの方と接する機会があります。ときには仕事の悩みを打ち明けられたり人生相談を持ち掛けられたりすることも少なくありません。

具体的なお名前などは伏せた形ではありますが、人財育成という観点から気になる3つのお悩み事とアドバイスをご紹介いたします。 

Q1:わたしは今年で入社して3年目です。割り振られる仕事を頑張ってこなしているつもりですが、仕事のミスや遅れで上司や先輩によく叱られています。指摘の内容は理解し、直そうと努めているつもりですが、なかなか思ったように成果があがりません。近頃はメンタル的にも辛くなってきました。会社をやめたほうがいいのかな、と思うこともあります。

PFJコンサルタントからのアドバイス: まず、任せられた仕事で思った成果が出ないと悩んでおられる点で、あなた自身のプロ意識が高いことが伝わってきます。 私自身も、今回の相談内容は若手社員のころに悩みましたので、その経験も踏まえてお話しをさせていただきます。

「これをやってくれ」「あれをやってくれ」と次々頼まれた仕事を引き受けた結果、にっちもさっちもいかなくなって、ミスや遅延が多発することは誰しも経験するのではないでしょうか。

マルチタスクそのものは悪いことではないですが、あるタスクをいったん中断して、別のタスクに作業を切り替えるためには別途その準備や段取りの時間、頭の切り替えなどが必要になります。その手間を考慮せずに次々仕事を引き受け続けると、TOC(制約理論)でいう「悪いマルチタスク」に陥りがちです。

状況の悪化を避けるため、複数の案件を抱えているのであれば、まず「いま、こちらの案件で立て込んでいるのですが、どちらを優先しましょうか?」といった交渉を相手に持ちかけてみるのはいかがでしょう。個々のタスクを完了させるために集中する時間を稼ぐことができれば、心身に少しゆとりがうまれるはずです。こうした交渉力は自分のメンタルを守るためにも欠かせないスキルの1つです。

PFJコンサルタントからのアドバイス:会社を辞めたくなった時には

でもそういう交渉やコミュニケーションが苦手で・・・」とおっしゃる方も少なくありません。交渉が決裂して言い争いになり、人間関係にしこりが残るのがイヤで「No」といえずに黙って引き受けてしまう。しかし心身ともに疲弊してしまえば、元も子もありません。上司や先輩もあなたがダウンしたり燃え尽きたりすることを望んではいないはずです(もし違うとすれば行政や弁護士などの力を借りるなどして働く人々の権利を守る対応が必要です)。

交渉力を高める方法はいろいろとありますが、「相手(お客様)が喜ぶことはなにか」を考えてみるものひとつの手です。相手はタスクを予定通りに完了したいと考えているけれども、あなたを病気にさせたいわけではないはずです。相手が喜ぶことは何か。そして自分も無理をせずに続けられることは何か。お互いなるべくハッピーになるストーリーを探ることが大切です。

交渉ごとにおいてのもうひとつのアドバイスですが、要求を押し込んでくる相手と接する際に、相手と自分のやりとりを映画監督や撮影カメラマンのように俯瞰してみてはいかがでしょう。その場面で自分が「○○という肩書きをもつ担当者」という役柄を演じて交渉してみるわけです。相手から何かクレームをつけられてもそれはあくまで担当者という役柄に対してのものであって、素の人格まで否定されているわけではないと割り切ってしまうと心理的なダメージを回避、軽減することにつながります。

自分が能力を活かせる環境とは 

Q2:大手メーカー勤務で15年が過ぎました。部下と上司の板挟みで四苦八苦しています。自分の仕事が評価されているか確信が持てません。業界の先行きを考えるとこのまま勤務し続ければいいのかと迷うことがあります。

PFJコンサルタントからのアドバイス: 日々楽しんで仕事をなさっていますか? つらい思いを抱え我慢して連日夜遅くまで仕事をしている場合と、夢中になって仕事に取り組んで気づいたら日付が変わっていたという状況(どちらも今の時代には相応しくない表現ですみません)では、おなじ「働く」でも仕事に対するモチベーションには大きな隔たりがあります。

PFJコンサルタントからのアドバイス

人の能力は環境次第で花開くといっても過言ではないと思います。ある職場で発揮されなかった能力が、別の場所では大いに開花することがあります。「技術職として入社してから、それまで向かないだろうと思っていた営業職に配置転換されたところ、技術に裏付けられた対応でお客さんに喜ばれた」とか、「工場内でものづくりを担当していたけれど、ダイレクトにお客様の意見や要望をもらい、各部署のつなぎ役となって動ける生産管理業務のほうが向いていた」など、立ち位置が変わると自分の違う側面に気づくこともあるでしょう。

昨今「親ガチャ」という言葉を見聞きします。「よい職場や環境にたどり着くには、よい学校を卒業しなければならない。生まれついた家柄や所得に左右されるのか」と肩を落とされるかもしれません。しかし、学歴だけでその人の能力や人生がすべて決まるという根拠はありません。世の中で答えが見つかっている問題や状況はごくわずかです。唯一正しい答えというものがない世界でどれだけ自分らしく生きていけるかを探るほうが大切です。

私はコンサルタントになる前は、一企業のサラリーマンでした。そのころ、仕事や問題に対処する際、それまでのやり方の問題点を見直し、他の人と違ったことをやるようにしていました。そこで結果を出すと、自分の代わりになる人がいないわけですから声がかかりやすくなります。仕事での評価とはあくまで相対的なものです。「あなたが、ある人(たち)と比べて秀でているか、それとも劣っているか」という観点で下される判断です。他の人と違うことをやっていれば、同じ土俵の上での横並びの比較や評価はしようがありません。そうして自分のやり方で動ける環境や範囲を徐々に拡げていきました。

起業をするべきかどうか 

Q3:私は今年、大学を卒業する学生です。卒業後は起業したいと考えていますが、親には反対されています。将来の起業を見据えるとすれば、どのような経験を積めばよいでしょうか。

PFJコンサルタントからのアドバイス:心配される親御さんのお気持ち、ごもっともだと思います。ただ、決めるのはあなた自身ですから、どの道が正解とは断言できません。ただ、できるだけ若いうちに地固めしておくことが大切です。地固めというのは、自分で稼ぐための力をつけるということです。これは残念ながら学校では教えてくれません。仕事をするのは正答のない世界であり、やってみなければわかりません。未来をつくるのはほかでもなく自分と考えて、顧客の抱える問題の本質はなにか、その解決の方向性を探り、考案した解決策を試してみることです。まわりからの信頼を得るために最初は小さな取り組みで差し支えありません。成果を出し、試行錯誤をいくつも重ねることで自信や度胸もついてきます。

PFJコンサルタントからのアドバイス:起業をするべきかどうか

企業に勤めるにしても漫然と過ごすのではなく、将来の起業を目指して、地固めをすることが重要です。その意味では、あえていえば大企業よりも中小企業に勤めるのもおススメです。現場から経営マネジメントまですべての部署が見えやすく、良い意味で鍛えられ、経験値を高めることができるからです。大企業がダメ、とはいいません。ただし部署と部署の間に壁ができやすく、所属した部署以外のことには口を出すなと咎められたり、経営全般を知るには時間を要したりする傾向があるかもしれません。

また、メルカリのような個人間取引やオークションサイトなどで何か売り出してみるのもよい訓練になります。出品する品物にいくら値を付けるか、どんな写真を撮り、どんなキャッチコピーにするか、訪れる相手の目線で考えてみます。値下げ交渉を持ちかけられたら、どうやりとりをすればよいでしょうか?「買い手が喜ぶことは何か」「そして自分もメリットを得るにはどうするか」。やってみると商いのむずかしさと面白さが実感できます。

起業をするには資金やタイミングがあります。準備は簡単ではなく不安や怖さを覚えるかもしれません。でも、イメージトレーニングとして「考える」という訓練は資金も要らず、すぐ始められることですので、今からやってみるのはいかがでしょうか?

踏み出すことで出会う未来 

正解のない不確実性に満ちた社会で生きるのは不安なことです。過去のやり方が通じず「自分はこれでよいのだろうか」と迷うことが多々あります。一方、自分をマネジメントすることができれば、自らの未来を切り開くチャンスが拡がります。現代においては会社に属しながらも新たな世界に踏み出せる環境や機会がたくさんうまれています。悩んだときには、小さな挑戦でもよいので一歩踏み出してみると、自分の違う一面や新たな未来、希望がみえてくるかもしれません。

弊社コンサルタントに寄せられたいくつかの質問とアドバイスをご紹介してみました。みなさんはどうお考えになられたでしょうか。ぜひこちらの問い合わせフォームからご意見やご感想をお寄せください。また、弊社SNSへの投稿もお気軽にどうぞ。


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