TOC Innovation Summit 2024での提案
TOCICO(TOC国際認証機構)の年次国際カンファレンスTOC Innovation Summit 2024が、ドイツのバート・ナウハイムで2024年9月29日から4日間にわたり開催されました。
本イベントでは多数のセッションや交流の場を通じて、世界各地でのTOCを活用したビジネスの変革やイノベーティブな取り組み、ソリューションに関する知見をシェアしました。
10月1日には、プログレッシブ・フロー・ジャパン(PFJ)の代表取締役社長 工藤崇と、プロジェクトディレクターの中井博胤がセッションで講演しました。

そこで紹介したのは、TOC(制約理論)の思考プロセスにAI(人工知能)技術を援用する新たな試みです。問題解決の強力なツールでありながら使いこなすにはハードルが高いとされる思考プロセスの敷居を下げ、多くの人々や組織に確かな成果をもたらす可能性を伝えました。
思考プロセスを多くの人が活用できるように
企業の経営者や働く人たちが、自らの手で生き生きと仕事ができる職場や環境をつくること、そして顧客により喜ばれる、求められる存在になっていくことは、私たちPFJが描く企業や社会の姿のひとつです。個社の業績伸長や市場の拡大に留まらず、サプライチェーン全体を活性化し持続的に成長することができればいっそう望ましいでしょう。
その際、TOCの思考プロセスに基づく考え方やツールなどを上手に活用してもらえれば、最大の成果が最短で得られるというのが私たちのスタンスです。
TOC の創始者である故エリヤフ・M・ゴールドラット博士は、組織や社会の中で人が過去の体験や常識に囚われず変化を遂げていくためのプロセスを示しました。これは「変化の3ステップ」と呼ばれ、次の質問から構成されます。
- 何を変えるか?
- 何に変えるか?
- どのように変えるのか?
思考プロセスにはさまざまなツールがありますが、3つのステップ(質問)に答える場面で役立ちます。
ただ、それらを使いこなせるようになるには、知識の習得や経験の蓄積に数年以上かかり、一朝一夕にはいきません。
中核的な原因や対立を見つけるには
たとえば、3つのステップの1つめ「何を変えるか?」に答えるには、
- 企業経営の足かせとなっている望ましくない結果(UDE:Undesirable Effect)は何かを明らかにする
- 原因と結果のロジックによって、望ましくない結果から中核となる問題や対立に遡る現状ツリー(CRT:Current Reality Tree)を作成する
といった思考プロセスおよびツールが有効です。(UDEとCRTの例はこちらのコラム「貴社の「2024年問題」をどう乗り越えますか?」でもご覧になれます)

こうした取り組みを支援するツールもいくつか世の中には存在します。ただ使いこなすには、思考プロセスに通じた専門家の手助けが欠かせないのが実情です。
また経験豊富な専門家でさえも、対象となる組織や事業によってはアウトプットの作成に長時間(場合によっては数日)要することがあります。
さまざまな負担を軽減し、より多くの人にとって思考プロセスを身近にすることはできないかーー。すべての思考プロセスやツールを網羅することは難しいとしても、まずはUDEとCRTの作成は専門家に頼らず進められないだろうか、という問いが試みの出発点にありました。
→→→ 提案したシステムの概要や講演での反響については近日公開のコラム後編でご紹介します。
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